チェンソーアートとは?魅力・作れる作品・初心者に必要な道具を専門家が解説

チェンソーと聞くと、木を伐るための道具というイメージを持つ方が多いでしょう。

実は、チェンソーは木を伐るだけではなく、丸太を彫り、動物や人物、干支、龍、仏像のような作品まで生み出す道具としても使われています。それが「チェンソーアート」です。

今回は、チェンソーアートの成り立ちや魅力、初心者が始める際に必要な道具について解説します。

チェンソーアートとは

チェンソーアートとは、チェンソーを使って丸太などの木材を彫刻するアートです。

通常の木彫りでは、ノミや彫刻刀などを使って少しずつ形を作っていきます。一方、チェンソーアートでは、チェンソーを使って大胆に木を削りながら、短い時間で作品を作り上げていきます。

もともとは、海外の木こりたちが休憩中にチェンソーで木を削って遊んだことが始まりと言われています。日本では1990年代後半より広がり始め、愛知県東栄町で行われた大会や、海外カーバーの来日などが、日本におけるチェンソーアート普及のきっかけになったと言われています。

背景には、林業地域の活性化や、間伐材の再利用といった地域課題もありました。林業に関わる人たちから始まった活動が、少しずつ一般の方にも広がり、現在では趣味として楽しむ人も増えています。

チェンソーアートの魅力

チェンソーアートの大きな魅力は、何といっても「丸太がまったく別のものに生まれ変わる」ことです。

何の形もない一本の丸太が、チェンソーの刃によって動物や人物、飾り物、縁起物へと変化していきます。ただの木材だったものに、新しい価値が生まれる。そのダイナミックな変化こそが、チェンソーアートならではの面白さです。

また、制作スピードの早さも特徴です。

チェンソーアートの大会では、「クイックカービング」と呼ばれる競技が行われることがあります。これは、限られた時間の中で作品を作る競技で、30分ほどで一つの作品が完成することもあります。

30分前までただの丸太だったものが、目の前で作品へと変わっていく。そうしたライブ感や迫力も、チェンソーアートが人を惹きつける理由のひとつです。

どんな作品が作れるのか

チェンソーアートでは、基本的には木材に対して、自分が彫りたいものを自由に表現することができます。

よく見られる題材としては、フクロウやクマがあります。丸太の形を活かしやすく、チェンソーアートの作品として昔から人気のあるモチーフです。

そのほかにも、魚、鳥、恐竜、干支など、さまざまな作品が作られています。鳥の羽のように、別で作ったパーツを組み合わせて、より立体的な作品に仕上げることもあります。

プロのカーバーになると、神社やお寺から依頼を受けて、龍や仏像のような大きな作品を制作することもあります。たとえば、雷が落ちたり、枯れてしまったりして伐らざるを得なくなった境内の大木を、ただ処分するのではなく、その場所にゆかりのある作品として残すこともあるそうです。

一本の木を、地域や場所の記憶を残す作品に変える。こうした点も、チェンソーアートの奥深い魅力です。

昔と今で変わってきたチェンソーアート

以前のチェンソーアートは、チェンソーだけで荒々しく削り上げるような作品が多く、その力強さが魅力とされていました。

一方、最近ではチェンソーだけでなく、さまざまな道具を使って仕上げる作品も増えています。

荒削りした部分をなめらかに整えたり、目や毛並みのような細かい表現を作り込んだり、着色をして作品の見栄えを高めたりするなど、仕上げの幅が広がっています。

チェンソーで大胆に形を作り、細かな道具で表情や質感を整える。現在のチェンソーアートは、以前よりもさらに表現の幅が広がっていると言えそうです。

チェンソーアートに使われる道具

チェンソーアートでは、通常のチェンソーに加えて、彫刻用の「カービングバー」と呼ばれる専用バーが使われます。

カービングバーは、先端が細く尖った形状になっており、細かい部分を削りやすいのが特徴です。初心者の場合は、小型から中型のチェンソーに、12インチから14インチ程度のカービングバーを付けて始めることが多いようです。

一方、プロのカーバーは複数台のチェンソーを使い分けます。大きなチェンソーで大まかな形を削り、中型のチェンソーで細部を作り、小型のチェンソーで仕上げる、といった使い方です。

プロの方になると、5台、6台とチェンソーを持っていることも珍しくありません。

バッテリーチェンソーの活用も広がっている

最近では、エンジンチェンソーだけでなく、バッテリーチェンソーを使うカーバーも増えています。

バッテリーチェンソーの大きな特徴は、音が比較的静かで、振動が少ないことです。

エンジンチェンソーは力強さがあり、荒々しい表現に向いている一方で、エンジン由来の振動があります。バッテリーチェンソーは振動が少ないため、細かな部分をブレにくく、精度高く削りやすいという声もあります。

そのため、荒削りはエンジンチェンソーで行い、仕上げにはバッテリーチェンソーを使う、といった使い分けもされています。

また、音が静かなため、イベント会場や街中での実演にも使いやすい点も魅力です。これまで音の問題で難しかった場所でも、バッテリーチェンソーによってチェンソーアートを楽しめる可能性が広がっています。

リンク:ハスクバーナのバッテリーシリーズとは?Aspireでできる庭の手入れを解説

初心者がチェンソーアートを始めるには

チェンソーアートを始めたいと思ったとき、まず課題になるのが木材の調達です。

特に都市部では、練習に使える丸太を自分で用意するのは簡単ではありません。そのため、初心者の方は、近くのカービングクラブやチェンソーアートの団体を探して参加するのがおすすめです。

こうしたクラブでは、木材を用意して講習会を開いていることもあります。道具を持っていない場合でも、相談すれば貸し出しに対応している場合があるかもしれません。

自己流で始めるよりも、経験者から安全な使い方や基本的な削り方を教わる方が安心です。

最低限そろえたい道具

初心者がチェンソーアートを始める際には、以下のような道具が必要になります。

  • 小型から中型のチェンソー
  • 12〜14インチ程度のカービングバー
  • チェンソー用の防護具
  • チャップスなどの防護ズボン
  • ヘルメット、保護メガネ、手袋などの安全用品

特にチェンソーを使う作業では、安全装備が欠かせません。チェンソー本体やカービングバーに目が行きがちですが、防護具も必ずセットで考えることが大切です。

リンク:チェンソーアート関連製品一覧(KeStore)

チェンソーアートは、木を楽しむ新しい入口

チェンソーアートは、木を伐るための道具であるチェンソーを、作品づくりの道具として使う楽しみ方です。

丸太が作品へと変わる迫力、短い時間で形が生まれるライブ感、そして木材に新しい価値を与える面白さがあります。

趣味として楽しむ方もいれば、地域の木材活用やイベント、神社仏閣の記念作品として取り組む方もいます。

これからチェンソーアートを始めてみたい方は、まずは近くのカービングクラブや講習会を探し、基本的な使い方と安全対策を学ぶところから始めてみてはいかがでしょうか。

KeStoreでは、チェンソーアートに使いやすいチェンソーやカービングバー、安全装備などの関連商品を取り扱っています。チェンソーアートに興味を持った方は、ぜひ道具選びからチェックしてみてください。

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監修:吉田 修明

株式会社協同  OPE事業本部 国内営業部 部長。チェンソー・刈払機を中心とした農業林業機械メーカー数社で37年勤務。マーケティングマネージャー、プロダクトマネージャーを経験。市場分析や商品分析に強み。現在は、農林業機械ショップの経営をサポート。